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 雨の季節になりました。ちまたの噂ではもうじき梅雨に入るとか入らないとか・・・。

 以前、ブログにも書いたことがありますが、僕は雨がわりと好きです。(外で仕事をされている方、単車などで通勤をされている方、本当にごめんなさいm(__)m)
土砂降りは困りものですが、朝起きたとき、シトシトと雨の音がすると、その他の喧騒が消されて、なんかホッとする気がします・・・。
今夜はそんな雨のネタです・・・。

 つい数日前、夜半から、突然の雷雨が大阪を襲いました。
この雨は、シトシトなんて生易しいものではなく、どちらかと言うと困りもののタイプの雨でしたが、いわゆる現代のゲリラ豪雨とは感じが違い、不思議な感覚の初夏の突然の嵐でした・・・。
 
 ちょうど近所に食事に出た帰りだったので、光る稲光と雷鳴に、半分怖がりながら、半分楽しみながら、かつびしょ濡れになりながら、ほうほうのていで家に逃げ帰りました(^^;。そして、同時に、つい先日教えてもらった、ある和歌を思い出しました。

「鳴る神の 少し響(とよ)みて さし曇り
雨も降らぬか 君を留めむ」

これは、「万葉集」に載っている、作者未詳の歌です。(万葉集 巻11-2513・柿本人麻呂歌集)

「雷が少し鳴っています 。雲が広がり 雨が降ってくれたら
帰ろうとしているあなたを、きっと引き止められるのに・・・。」

帰ろうとしている恋人に、帰らないで欲しいと呼びかける歌です。

そして、この呼びかけに対して、恋人は返歌を送ります。

返歌
「鳴る神の 少し響(とよ)みて 降らずとも
我(わ)は留まらむ 妹(いも)し留めば」


やはり作者未詳(万葉集 巻11-2514・柿本人麻呂歌集)です。

「雷が鳴らなくても 雨が降らなくても、
君が引き止めてくれるなら 僕はここにいるよ。」

優しく、こう返された女性は、どれほど喜んだでしょうか?

 約1300年の時を超え、今でも心に素直に響く、美しい歌だと思います。
これは「相聞歌」と呼ばれる部類の歌で、主として愛し合う男女間で交わされる歌です。
「君」は男性の恋人を指し、「妹」は兄妹ではなく、女性の恋人を指します。

 亀井勝一郎は、昔、人間の言葉の中で、もっとも美しい言葉は、この相聞と辞世(死ぬ前に読む歌)だと良く言っていました。
このネタは、また話すと長くなるのですが、僕も本当にそうだと思います。
 
 しかし、風流ですねー。
「雷が鳴って恐いから、今夜は泊まって行ってよ!・・・」ではないのです(^^;。
女性は切ない気持ち、不安な気持ちをしのびながら和歌で詠んで、男性は、温かい愛を和歌で返すのです。

 美しい言葉に、多くを語るのはタブーですが、雷はもちろん「神鳴り」「鳴る神」。
万葉の時代と言えば、神代と人代の境い目です。
この美しい言葉は、まさに神の言霊として現代に残ったと思います。

この相聞の中に流れる温かいエネルギーを感じ取って、梅雨空にも、ホクホクと温まってくれれば幸いです(笑)。


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by 11846182 | 2017-06-08 00:24 | 歳時記・光の言霊


ぺぺです。ここでひと息、コーヒーブレイク。堺市の山本歯科医院のブログです。